認識票の歴史

認識票の歴史
認識票は、軍隊において兵士の個人識別用に使用されるものです。

アメリカ軍のスラングでは、これを指してドッグタグ(Dog tag)と呼びますが、近年ではIDタグ(ID tag)へ呼び名が変わり始めています。

第二次世界大戦中のアメリカ陸軍兵士の認識票
▲第二次世界大戦中のアメリカ陸軍兵士の認識票

古代から兵士の身元確認は人相や入れ墨などで判別されていました。

プロイセン軍が1870年から普仏戦争のために導入した認識票が世界初とされます。

同じころに首都ベルリンで導入された犬用の鑑札(ドイツ語でHundemarken)と比較され、自嘲気味に「Hundemarken」と呼ばれ、これが英語になったものが「Dog tag」(ドッグタグ)です。

スウェーデンで発行された犬用の鑑札
▲スウェーデンで発行された犬用の鑑札

第二次世界大戦中のイギリス軍では、切れ目のついた円形の金属板を手首にチェーンで巻きつけ、アメリカ軍では長円形の金属板に穴を空けチェーンなどに通して首から提げて使用しました。

大日本帝国陸軍では小判型の真鍮板を上下の穴に紐を通して胴体にたすき掛けにして装着していました。

米軍では首から下げた認識票を犬の鑑札(狂犬病予防の法律に基づく登録票)になぞらえて「ドッグタグ」と呼ばれるようになりました。

その意味合いとして、自嘲的な皮肉が多分に込められています。

認識票の形状や材質、打刻される兵士の情報は各国の軍によって異なります。

多くは5cm程度の大きさのアルミニウム製やステンレス製で、氏名、生年月日、性別、血液型、所属軍(国籍と同義)、認識番号、信仰する宗教などが打刻されます。

たとえ戦死時に遺体が原形を留めないほど損壊しても、認識票が無事ならば個人識別が可能です。

使用する枚数も国によって異なりますが、二枚式の場合は両方に、一枚式の場合は折り取れるようにしておきその上下双方に、同じ内容を打刻します。

戦場において戦死した際に一方を回収、これを戦死報告用とし、残りは判別用に遺体に付けたままにします。

二枚式の場合、相互に触れ合って金属音を立てるため、サイレンサーと呼ばれるゴムの外周カバーをはめる場合があります。

近年は一般人の装身具としても用いられます。
(普通は卑金属製ですが、この場合は銀や18金など貴金属が用いられます)

また、事故や災害に巻き込まれた人が、認識票を付けていたことで身元確認が容易となった事例も存在します。

戦死者の葬儀の様子
▲戦死者の葬儀の様子。銃に認識票がかけられています。
 (2006年10月、イラク戦争にて)

各種の認識票;
・未記入の認識票
未記入の認識票

・二枚式(ベトナム戦争頃のアメリカ海兵隊)
二枚式(ベトナム戦争頃のアメリカ海兵隊)

・サイレンサーをはめた二枚式
サイレンサーをはめた二枚式

・皮製(第二次世界大戦中の南アフリカ海軍)
皮製(第二次世界大戦中の南アフリカ海軍)

・皮製二枚式(ポーランド)
皮製二枚式(ポーランド)

・分割式(カナダ)
分割式(カナダ)

・分割式(ドイツ連邦軍)
分割式(ドイツ連邦軍)

・分割された状態
分割された状態

・スウェーデンの民間人用
スウェーデンの民間人用

・装身用
装身用


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参考文献(wikipedia);
認識票
https://bit.ly/3reh2eT
プロイセン王国
https://bit.ly/3jcSsIs
普仏戦争
https://bit.ly/36DIsD4
Hundemarke
https://bit.ly/39ISLb1
大日本帝国陸軍
https://bit.ly/3oF8A6x
イラク戦争
https://bit.ly/2YIiBWd