【諸説】バラ窓の起源

【諸説】バラ窓の起源
「バラ窓」は、特にゴシック建築において、ステンドグラスで作られた円形の窓のことで、一般的にマリオン(方立)とトレサリー
(頂部が尖ったアーチ形のふちどり)が中央から放射状に伸びたものです。

イギリスのブリストル大聖堂のバラ窓(身廊の西端)
▲イギリスのブリストル大聖堂のバラ窓(身廊の西端)

聖母マリアは「奇(くす)しきバラの花」とも言われ、教会や大聖堂においてバラ窓はしばしば聖母マリアを暗示しており、バラの花を精巧に模すこともありました。

しかし「バラ窓」という用語は17世紀以前には使われておらず、古フランス語の「roue(車輪、歯車)」からくるものと言われています。

したがって、中世以前では、聖母マリアとバラの花、バラ窓を関連付ける考え方は通常、無かったと思われます。

バラ窓の起源は、ローマ建築のオクルス(円形窓)の一部に見られます。

ごく初期の例として、スペインのオビエド近く、リロのサン・ミゲル・デ・リーリョ教会でトレサリーと共に軸方向に置かれた9世紀のものが挙げられます。

一般的には、ロマネスクの時期にオクルスが発達してバラ窓になったと思われていますが、実際には、ロマネスクのオクルスがゴシックのバラ窓へと変化する移行過程の特徴を備えたものが認められません。

イスラーム建築におけるオクルス
▲イスラーム建築におけるオクルス

そのため、パリ近郊のサン・ドニ修道院(現在は大聖堂)の西正面にあるバラ窓が、ゴシックの最初のバラ窓として登場したときに(オクルスからバラ窓へと)一気に革新がなされたのだという説は、説得力に欠けると言えます。

サン・ドニのバラ窓は1130年代にシュジェールがサン・ドニの修繕に取り組んだ頃のもので、18世紀に何度か破壊されました。

サン・ドニ修道院西正面
▲サン・ドニ修道院西正面

サン・ドニ修道院の北翼廊のバラ窓
▲サン・ドニ修道院の北翼廊のバラ窓

サン・ドニ修道院南翼廊のバラ窓
▲サン・ドニ修道院南翼廊のバラ窓

バラ窓の発達に関してはもう1つ、ドイツの歴史芸術家オットー・フォン・シムソンが提唱した説があります。

シムソンは、740年から750年にかけてヨルダンの Khirbat al-Mafjar に建てられたウマイヤ朝の宮殿の外壁を飾る、切れ込みが6つ入ったロゼット(バラ飾り)と八角形の窓がバラ窓の起源だと考えました。

この説では、十字軍遠征の際にこの魅力的な窓のデザインがヨーロッパに持ち込まれ、教会に導入されたとされます。


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参考文献(wikipedia);
バラ窓
https://bit.ly/3f4Ig16
Bristol Cathedral(ブリストル大聖堂)
https://bit.ly/308GUOG
San Miguel de Lillo(サン・ミゲル・デ・リーリョ教会)
ロマネスク(romanesque)
https://bit.ly/3312lTB
イスラーム建築
https://bit.ly/304elSo
オクルス(oculus)
https://bit.ly/3g9lRkj
サン=ドニ大聖堂
https://bit.ly/30RxW7z
シュジェール(Suger)
https://bit.ly/3f7IMLR
翼廊(よくろう)
https://bit.ly/3f6tffb
身廊(しんろう)
https://bit.ly/2BzUrFg
ステンドグラス(stained glass)
https://bit.ly/1JLOknu